【売れる販売員】と【売りつける販売員】3つの違い

スタッフブリッジ 大阪オフィス|松尾 章史
スキルアップ
2025.07.31
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初めてアパレル販売をおこなう際、どのような考え方で業務に取り組むべきか気になる方は多いのではないでしょうか。特にアパレル業界では、スキルや資格がなくても始められる仕事ではありますが、「売れる販売員」になるにはそれ以上の必要な心構えや姿勢が求められます。

また、販売の仕事が好きで長く続けている経験者の方でも、日々の業務をこなす中で「本当にお客様のためになる接客ができているのか」と自問する瞬間があるかもしれません。情報をしっかりと管理し、商品やセールのタイミングを把握することも、お客様との信頼関係を築くうえで重要なポイントです。

【売れる販売員】と【売りつける販売員】とでは大きな違いがあります。その違いが分かれば、日々の売場での接客や店舗運営において、より効果的な行動がとれるようになります。たとえば、ただ商品管理をこなすだけでなく、お客様のニーズに応じた案内やコミュニケーションを意識することで、信頼度が格段に上がります。

また、売れる販売員は、お客様に「買わされている」と感じさせず、自然と「買いたい」と思わせるような接客を行います。これは能力だけでなく、興味をもって相手の気持ちを把握しようとする姿勢の差でもあります。職種としての枠を越え、サポートやアドバイスといった価値ある提案を行うことが、真の販売力につながります。

目標を明確にもち、日々の業務の中で自分の接客がどうお客様に影響しているのかをチェックしていくことが、【売れる販売員】への近道となります。

今回は、その違いについて3つご紹介いたします。

お客様の立場になって考える

【売れる販売員】は、常にお客様の立場に立って考え、心地よいサービスを提供する意識をもっています。これは単なる業務の一環ではなく、「自分ならどう感じるか」を想像するスキルの1つともいえるでしょう。アパレル販売の職種において、お客様との距離感や接し方を柔軟に変えられるかどうかが、売れるか否かを左右するポイントになります。

例えば、お客様が手いっぱいに商品をお持ちであれば、お買い物カゴをお渡しする。高いところにある商品を取ろうとしていたら、すぐにお声掛けをして代わりに取って差し上げる。お探しのサイズが見当たらない様子であれば、情報を共有しながらストックを確認するなどの配慮が大切です。こうした気遣いは、自然とディスプレイの見直しや商品導線の改善にもつながり、店舗全体の印象アップにも貢献します。

一方、環境やお客様の気持ちを無視し、自分の売りたいものばかりを一方的に伝えるような接客は、かえって逆効果。お客様は自分のペースで買い物を楽しみたいと感じている方も多いため、そっと寄り添う姿勢が求められます。案内の仕方やサポートの一言が、信頼感や購買意欲に大きく影響します。

また、声をかけること自体が苦手なお客様もいらっしゃいます。そんな方でも気軽に話しかけられるような、親しみやすい雰囲気や笑顔は、売れる販売員の共通点です。これらは単なる接客技術ではなく、お客様への思いやりを行動に落とし込んだ結果です。

「自分が買い物をしているとき、どういう対応をされると嬉しいか」。その視点に立ち返ることが、常にベストな接客を生む可能性を広げてくれます。働く立場であることを忘れずに、お客様と向き合っていく姿勢が、信頼と売上の両方を築いていくのです。

信頼関係を築く

接客は、お客様との信頼関係があってこそ成り立つものです。アパレル販売という業務では、日々さまざまなお客様と向き合うことになりますが、その中で信頼を築くことができるかどうかが、キャリアアップや店長などのポジションを目指す上でも重要な要素となってきます。

たとえば、自分本位な接客をしてしまうと、結果として【売りつける販売員】になってしまう危険性があります。「売らなければ」という意識が先行すると、管理すべきはずの売場や顧客の情報を見落とし、焦った言動が接客ににじみ出てしまいます。お客様に「この人は自分の売上しか考えていないのでは」と思われてしまえば、それ以上の関係構築は難しくなります。

もちろん、商品を購入していただくことは大切な目標です。ただし、単なる短期的な成果だけを求めるのではなく、お客様に「このお店は楽しい」「また来たい」と思っていただけるような店舗づくりが、長期的に売上を伸ばす秘訣でもあります。

信頼関係を築くには、以下のような行動が大切です。

── 清潔感のある身だしなみにする
第一印象はとても大切です。アパレル販売員は、お客様にとってのショップの顔。コーディネートや見た目のイメージも含めてお客様に安心感を与える存在であるべきです。清潔感があり、品のある装いを意識することで、「この人から買いたい」と思っていただける確率も高まります。

── 気遣いや礼儀を欠かさない
「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」の基本的な接客用語を忘れずに伝えることで、お客様の満足度が向上します。特に来店の多い顧客様には、ちょっとした一言が大きな信頼へとつながります。完売商品の際には「申し訳ありません、ただいま在庫がございません」と丁寧に伝え、代替品や再入荷時期の案内をすることで、フォローの質も上がります。

── お客様をよく見る
ただ漫然と接客するのではなく、お客様のしぐさや表情、動きから目的や興味を感じ取ることができると、自然とその方に合った提案ができるようになります。これはスキルというよりも、日々の意識と観察力で鍛えられていくものです。また、接客の中で得た気づきやニーズをまとめて共有することも、スタッフ間の連携向上に役立ちます。

さらに、お客様の好みや体型、サイズ感などを把握していくことで、信頼はさらに深まっていきます。長くお付き合いのできる関係を築ければ、それが自信となり、販売員としてのやりがいや働くことの意味を改めて感じることにもつながります。

「気持ちのいい対応を徹底すること」こそが、売れる販売員としての第一歩です。接客を通じて信頼を積み重ねていきましょう。

ファッションの知識を身につける

一方的な商品知識を伝える接客は、不信感を与えてしまいますが、アパレル業界において、ある程度のファッションに関する知識やスキルを身につけておくことは非常に重要です。お客様の要望や悩みに対応するためには、制度的な教育や日々の勉強を通じて情報をアップデートし続ける必要があります。

たとえば、スタイルやカラーの相談に対して知識が曖昧なままだと、信頼を失ってしまうリスクがあります。これは単なる販売の問題ではなく、お客様との信頼や満足度、そして店頭でのブランド価値にも関係してくることです。

知識の引き出しが多い販売員は、お客様の目的やライフスタイルに合わせた提案ができるため、「この人に相談してよかった」と思っていただきやすくなります。結果として売上にも直結し、店舗全体の業績にも好影響を与えることができます。

よくお客様から質問される項目には以下のようなものがあります。

── 素材
洗濯できるか/肌ざわり/涼しい素材・暖かい素材はどれかなど。最近は機能性素材やエシカル素材なども注目されており、素材選びに敏感なお客様も増えています。

── デザイン
トレンド/スタイルに合ったデザイン/TPOに合わせた着こなしなど。特に流行に敏感なお客様に対しては、最新のトレンド情報を元にアドバイスできるようにしておきましょう。

── カラー
どんな組み合わせがよいか/顔映りをよく見せるカラー/落ち着いて見える色やメリハリが出る色など。カラー提案はファッション販売において重要な役割を担います。

また、最近ではsnsやメディアを通じてファッション情報を得るお客様も多くなってきました。そのため、同じような知識を持ち合わせておくことで、会話の質が高まり親近感も生まれやすくなります。

知識を深めることは、顧客獲得だけでなく自分自身のキャリアプランを形成する上でも大切なステップです。将来的にショップのマネージャーやバイヤーなど、企画や運営に関わる立場を目指す際にも、このような積み重ねが大きな武器になります。

さらに、検定取得やファッション専門学校での学びも視野に入れると、自信を持って接客できるようになり、自分の強みとして活かすことができます。

「このお店、この販売員から買いたい」と思ってもらえる存在になるために、日々の努力を惜しまず、ぜひ知識の幅を広げていってくださいね。

売れる販売員が意識している日々の習慣

【売れる販売員】は、接客の瞬間だけでなく、普段からの習慣や姿勢にも大きな違いがあります。毎日の小さな行動の積み重ねが、信頼や売上に直結し、結果としてキャリアアップにもつながります。

■ 出勤直後のルーティンを大切にしている
売れる販売員は、まず店舗の状態をしっかりと把握し、整った環境をつくることに力を入れています。たとえば、店内のディスプレイの乱れをチェックしたり、在庫管理を確認したりすることがその代表です。見た目がきれいで整った売り場は、お客様に安心感と好印象を与え、自然と購買意欲を高めます。

さらに、日々の清掃や整理整頓も欠かしません。細かな気遣いが、店舗全体の環境を良くし、来店されるお客様の満足度アップにつながります。スタッフ同士で情報を共有し、その日の業務の流れや目標を確認し合うことも習慣の一つです。

■ トレンド・商品知識を常にアップデートしている
ファッション業界は常に変化しています。そのため、売れる販売員は流行や新商品の情報を絶えず収集し、自分のスキルとして身につけています。SNSや雑誌、マーケティング資料などから最新情報を取り入れ、接客時に役立てるのです。

また、商品素材やサイズ感、コーディネートのポイントなど細かい知識も豊富であることが多いです。こうした知識はお客様の悩みや疑問にすぐ対応できる強みになりますし、信頼感を高める大切な要素です。

日々の勉強を怠らず、新しいことを学び続ける姿勢が、キャリアアップや販売力向上の鍵となります。

■ 仲間とのコミュニケーションを大切にしている
店舗で働くスタッフ同士の良好な関係は、接客の質にも大きく影響します。売れる販売員は、仲間とのコミュニケーションを積極的に取り、情報共有や相談を欠かしません。

売れ筋商品の情報交換はもちろん、接客でうまくいった方法や改善点を共有することで、店舗全体の接客レベルが底上げされます。忙しいときにはお互いにサポートし合い、チームとして働きやすい環境を作っています。

また、新人や後輩へのフォローやアドバイスを行うことも、信頼関係を築き、よりよい店舗運営につながります。

■ お客様の傾向や目的を観察している
売れる販売員は、お客様の表面的な行動だけでなく、目的や気持ちを読み取ろうと努めています。顔なじみのお客様の好みを覚えておくのはもちろん、新規のお客様には緊張を和らげる声かけを心掛けます。

平日と週末、またはセール期間中の購買傾向の違いにも敏感で、それに応じた接客スタイルや提案を変えることができます。この観察力が、リピーターの獲得や顧客満足度の向上に大きく役立っています。

■ 日々の積み重ねがキャリアアップに直結する
これらの習慣は、ただの仕事のルーティンではなく、将来的なキャリアの基盤となります。販売員としての経験と知識を積み重ねることで、店長やマネージャー、本社での企画・運営など、幅広い道が開けます。

小さな意識や行動の積み重ねが、あなたの可能性を大きく広げることを忘れずに、毎日の仕事に取り組んでください。

最後に

いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した内容は、アパレル販売が未経験の方でも、既に職種として経験がある方でも共通して活かせるポイントばかりです。業務の中で求められるのは、単なる販売ではなく、お客様に価値ある情報や体験を提供できる存在になることです。

近年では、ディスプレイの工夫やキャリアアップに向けたスキルの蓄積も求められています。ネットショッピングの台頭により、価格や品揃えだけでの勝負は難しくなりました。そんな中でわざわざ店舗まで足を運んでくださるお客様に、リアルな接客という「特別な体験」を提供することが、販売員の重要な役割となっています。

お客様の立場に立って考える姿勢、そしてその場その場のニーズに応じた提案力が、今後の年収や評価にも大きく影響してきます。また、お客様の「また来たい」という気持ちを引き出すことができれば、それは店舗運営や売上向上への貢献にもつながります。

日々の仕事の中で、何気ない会話や状況の観察、提案の工夫を大切にしてみてください。こうした積み重ねが、お客様との長期的な関係づくりに繋がります。販売の現場は、まさに「人と人」のつながりを感じられるやりがいのあるフィールドです。

接客をただの仕事とせず、「自分らしさ」を活かせる接客スタイルを探しながら、楽しんで実践していきましょう。お店やあなた自身のファンになってもらえるよう、ぜひ日々の接客に自信を持って取り組んでくださいね!