アパレル接客に活かしたい!洋服の素材知識

スキルアップ
2017.09.04
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お買い物の際、みなさんはどのような視点でお洋服を選ばれていますか?デザインや色、着心地や価格など人それぞれこだわりがありますよね。その中でも毎日身に付けるものですから、着心地や取り扱い方法を重視される方も多いのではないでしょうか?

お客様からの質問で多いものが、「家で洗濯できますか?」や「洗濯したら縮まない?」、「シワにならない?」という素材に関するものです。

今回はその着心地や取り扱いに直結する、洋服の素材についてご紹介いたします!

「天然繊維」と「化学繊維」

洋服に使われる繊維には大きく分けて、「天然繊維」と「化学繊維」の2種類があります。「天然繊維」は、人工的ではなく、主原料が天然のものから作り出された繊維のことです。対して「化学繊維」は人工的に作られた繊維のことです。

── 天然繊維
天然繊維には、「植物繊維」と「動物繊維」の2種類があります。

「植物繊維」は主原料が植物からなっている繊維のことで、主に植物の茎や葉っぱ、種子などから作られています。代表的なものとしては綿(コットン)や麻(リネン)などで、植物繊維は植物の習性から熱や洗濯などの摩擦に強いという特徴があります。

「動物繊維」は、ヒツジやアルパカなどの動物の毛から作られています。代表的なものとしては、毛(ウール)や絹(シルク)、アルパカなどで、保温性や保湿性に優れているため冬服・防寒着として使用されることが多いです。

── 化学繊維
化学繊維には主に、「合成繊維」「再生繊維」「半合成繊維」があります。

「合成繊維」は、石油から作られており、主にポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあり、現在製造されている洋服の多くが合成繊維によって作られています。

「再生繊維」は、木材や綿花を取ったあと一度溶かしてから再び作り直す(再生する)方法で作られており、レーヨン、キュプラなどがあります。ペットボトルからできているものもあり、環境にも非常に優しい繊維です。

「半合成繊維」は、天然物質と化学物質の2つを合わせて作った繊維のことです。半合成繊維の中で最も多く洋服に使用されているのがアセテートで、和服やフォーマルな洋服に使用されています。

接客に活かす!アパレル素材知識~天然繊維編~

── 綿(コットン)
綿(コットン)は、天然繊維の中でも最も多く洋服に使用されている繊維です。TシャツやYシャツ・トレーナーになどに多く使用されており、吸水性・通気性に優れているのでシーズンを通して快適に着用することができます。

また、耐久性にも優れているので、洗濯にも強く、アイロンがけがしやすい点もメリットとして上げらます。他の天然繊維に比べると価格帯がお手頃なところもおすすめポイントです。

ただしシワになりやすく、洗濯で縮むこともあるのでお取り扱いには注意が必要です。

── 麻(リネン)
麻(リネン)は、天然繊維の中でも最も涼しいといわれ、高温・多湿な夏場に特に最適な素材です。汗ばんでも肌に密着せず、通気性に優れており、水分の吸収と発散が早いのが特徴です。また、汗の発散が早いことで細菌の発生が抑えられ、衛生面でも魅力的な素材です。

ただし、シワになりやすいという欠点もありますが、その風合いを楽しむという点でもナチュラルに着こなせる夏に一押しの素材です。

── 毛(ウール)
毛(ウール)は、主に羊から採取される繊維で、冬のニットやコートの定番素材です。保温性・保湿性に非常に優れており、弾力性がありシワになりにくいのが特徴です。しかし、洗うと縮みやすく虫の害を受けやすいのが欠点です。重みにより伸びやすいので、洗濯後は風通しの良いところで平干しがおすすめです。

また、虫食いやカビ対策として、長期保管の際は防虫剤や乾燥剤と一緒に保管すると良いでしょう。

接客に活かす!アパレル素材知識~化学繊維編~

── レーヨン
レーヨンは木材パルプが原料の素材で、さまざまな衣料に使用されています。絹のような美しい光沢感があるのが特徴で、やわらかく吸湿性もあり、テロンとしたなめらかな肌触りが特徴です。一方、水に濡れると縮みやすくシワになりやすいので注意が必要です。

縮むため基本的には水洗い不可ですが、水洗いできるものでもゴシゴシこすったり、固く絞らないようにしましょう。シワがついたら、スチームアイロンで優しくシワを伸ばすと良いでしょう。

── ポリエステル
ポリエステルは強度の高い糸から作られており、主にニットやシャツなどに使用されています。非常に耐久性があり、伸びや縮みに強いためファッション業界でも人気の素材です。洗濯をしても乾くのが早く、その上シワになりにくく型崩れがしにくいので、とにかくお手入れが簡単です。

── アクリル
アクリルは最もウールに似た性質を持った、柔らかく暖かみのある肌触りの化学繊維です。薬品や虫に強く、洗濯しても縮んだり型崩れしないので、ウールよりも取り扱いがしやすいのが特徴です。

吸湿性が低く速乾性がありますが、静電気が起きやすく、毛玉になりやすい繊維なので取り扱いには注意が必要です。もし毛玉ができてしまったら、手では取らずに毛玉取り器でやさしく取りましょう。

ニット製品はウールと同じく、平干しと、ハンガーを使わずたたんでの保管をおすすめします。また静電気やチクチクが気になる場合は、柔軟剤を入れて洗濯をすると良いでしょう。

最後に

このようにアパレル素材にはたくさんの種類と特徴や、メリット・デメリットがあります。

ただ種類や特徴を覚えるだけではなく、お客様にどのように分かりやすく説明ができるか、お客様のニーズは何なのかということをよく考えることがとても大切です。お客様がなぜ素材を気にしているのか、どんな素材をおすすめしたら喜んでいただけるのか、知識を活かしたワンステップ上の接客ができるといいですね。