アパレルってなに?アパレル業界の職業について

スキルアップ
2024.09.25
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「アパレル」や「ファッション」という言葉は、日常生活の中でよく耳にしますが、その違いを詳しく知っている人は少ないかもしれません。一見、どちらも同じように「服」に関連する言葉ですが、実はそれぞれに異なる意味があります。

「アパレル」は、具体的に衣類や服飾品を指す言葉で、服そのものやその製造・販売に関する業界を意味します。一方で「ファッション」は、もっと広い意味を持ち、流行やスタイル、服装の美学全体を指します。つまり、アパレルは衣類そのものや商品に焦点を当てるのに対し、ファッションはその衣類がどのようにスタイルや文化に影響するか、または人々がどのようにそれを着こなすかという点に注目しています。

服飾やファッションに関わる仕事を目指す人にとって、アパレル業界の詳しい流れや細かな職種の分類を理解することは非常に重要です。今回は、そんなアパレルについて業界構造を分かりやすく解説し、代表的な業種やそれぞれの役割について詳しくご紹介します。

アパレルとファッションの違いとは?

アパレルとファッションは、日常生活の中でしばしば混同されますが、実際には異なる概念です。
ここではアパレルの本来の意味や、それが指し示す物の意味とファッションとの違いについて解説します。

【アパレルとは 】
「アパレル」という言葉は、一般的には衣服や服装を指す言葉であり、靴やバッグ、帽子、アクセサリーなどのファッションアイテムも広く含まれることがあります。この言葉は英語の「apparel」に由来し、その語源はラテン語の「apparare」(準備する)に遡ります。もともとは、儀式や特別な場面で着用するために前もって準備された衣服を意味していましたが、現代では主に既製服や衣料品全般を指す言葉として使われています。アパレルという言葉は商業や産業の文脈で使われることが多く、衣料品の製造や販売に関わる業界を「アパレル業界」と呼びます。

アパレル産業の構造は、衣類の製造・流通・販売に関わるさまざまな業者が連携して成り立っています。例えば、繊維業から素材を仕入れたアパレルメーカーが既製服を製造し、流通業者がそれを卸売し、小売業者が消費者に販売します。この流れは川の流れに例えられ、「川上」「川中」「川下」とよばれ大きく分類されています。

【ファッションとは】
ただの「服装」や「アパレル」を指すだけではなく、私たちのライフスタイルや文化、個性を表現する大切な要素です。ファッションの語源はラテン語の「ファクティオ(factio)」で、「作ること」や「形作ること」を意味していました。その後、フランス語の「ファソン(façon)」を経て、英語の「ファッション(fashion)」となり、上流社会の生活様式やマナーを表す言葉として使われていました。しかし、現在ではファッションはより広い意味を持ち、服装だけでなく、ヘアスタイル、メイク、アクセサリー、さらには音楽やインテリアまでを含む「流行」や「スタイル」を指します。

ファッションはその時代や社会の価値観に応じて変わり続け、服や装飾品を通じてその時々の流行や感性を反映します。現代のファッション業界では、単に服を売るだけではなく、ライフスタイル全般を提案するセレクトショップも多く見られます。これらの店では、洋服やアクセサリーに加え、本や雑貨、インテリアなども取り扱っており、ブランドが提案するトータルな生活スタイルを体験できるのです。

つまり、ファッションは単なる衣服の選び方ではなく、個々のスタイルや感性を組み合わせて新しいスタイルを生み出し、他の人が真似したくなるような影響力を持つものです。
ファッションは私たちの日常生活において、ただ服を着ること以上に、自己表現やコミュニケーションの手段として存在しているのです。


アパレルやファッションに関する仕事に就く際には、これらの違いと業界構造を理解しておくことが大切です。アパレル業界では、単に衣類を販売するだけでなく、素材の選定や製品の企画、デザイン、製造、販売まで多岐にわたる業務があります。また、ファッション業界においては、トレンドの分析やマーケティング、ブランドイメージの構築など、消費者に新しい価値を提供するための創造的な取り組みが求められます。

先ほどアパレル業界の流れは、川の流れに例えられるとお伝えしました。川上では原料や材料が生産され、川中ではそれらを使って商品が作られ、そして川下で消費者に届けられるのです。具体的には、川下から川上へと遡る形で、それぞれの業種を見ていきましょう。

アパレルの職業|川下編

「川下」とは、川上や川中で作られた製品を、最終的に消費者へ販売する役割を担う企業を指します。この分野は、主にアパレル小売業が該当し、百貨店やセレクトショップ、ECサイトなどがその代表例です。接客や販売を担当するアパレル店員も、この「川下」の一部であり、日常的にイメージしやすい職種の一つです。

【小売】
アパレル小売とは、ファッション業界において、アパレルメーカーや卸売業者から仕入れた商品を消費者に販売する業種です。商品の販売に際して、ライフスタイルやコーディネートの提案を行い、付加価値を提供することで消費者の利便性を高めています。

アパレル小売には、百貨店、量販店、専門店、ECサイトなど、さまざまな業態があります。小売業は、実店舗での「店舗小売業」と、WEBを介して消費者に直接販売する「無店舗小売業」に分けられます。最近では、両者を融合させたオムニチャネル戦略が増えています。

顧客体験の重要性が高まる中、実店舗での体験やブランドの世界観を楽しむ声もあり、店舗小売業の価値が再認識されています。近年のライフスタイルの変化により、無店舗小売業が好調ですが、店舗小売も重要な役割を果たしています。


● 仕事内容
アパレル小売の主な業務は、消費者に商品を販売することです。消費者と直接接する立場にあるため、彼らの動向を観察し、販売方法を工夫することが重要です。

・販売業務
店頭で自社商品を販売します。倉庫から商品を仕分け、実際に消費者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介し、コーディネートの提案を行うことで購入を促します。また、ECサイトの運営も行い、社内の各担当者と連携しながらサイトの設計や運営に取り組みます。最近では、ECの重要性が高まっており、効果的なWEBサイトを作るための試行錯誤が求められています。

・店舗展開の管理
自社の店舗やWEBサイトの販売戦略を考える業務です。展開する商品の選定や陳列、ディスプレイの考案を通じて、店舗での売上を確保・向上させるための戦略を策定します。また、顧客へのダイレクトメールやメールマガジン、キャンペーンの計画も含まれます。

・商品の企画・選定
自社で取り扱う商品を考案する業務です。国内外からの商品仕入れや、自社のプライベートブランド商品のデザイン・生産に関する企画・管理を行います。自社のブランドイメージやテイストと、世の中の流行を先読みし、それを形にする能力と経験が必要です。

● やりがい
アパレル販売員のやりがいには、さまざまな魅力がありますが、特に以下の3つが代表的です。

➀お客様とのコミュニケーションを通じた満足感
お客様に似合う洋服を提案し、喜んでもらえたときの達成感は、アパレル販売員ならではのやりがいです。自分の提案がきっかけでお客様が満足して購入してくれる瞬間や、再来店してくれたときには特別な喜びがあります。

② ファッションの最前線で働けること
アパレル販売員は、最新のファッショントレンドに触れながら働くことができるため、常におしゃれの最前線にいることができます。新しいアイテムやコーディネートを学び、自分のスタイルにも活かせるので、ファッション好きにはとても魅力的な仕事です。

➂ スキルアップや自己成長を感じられること
販売スキルや接客力が身につくことも大きなやりがいです。お客様のニーズを理解し、最適な提案をする力が高まるにつれて、信頼関係を築くことができるようになります。また、在庫管理やディスプレイの工夫など、店舗運営に関わる多様なスキルも習得できるため、仕事を通じて自己成長を感じやすいです。

● 必要なスキル
・コミュニケーション能力
初対面の顧客に適切な接客を行う能力。
・ファッション感度
自身のコーディネートや流行を把握するための情報収集能力。

● 有利な資格
アパレル小売に必須の資格はありませんが、以下の資格が役立ちます。
・ファッション販売能力検定:
ファッションに特化した資格で、スキルの証明に。
・販売士検定:
商品販売に関する知識を示す資格で、特に店長を目指す際に有利です。

【セレクトショップ】
セレクトショップは、特定の販売コンセプトに基づいて複数のブランドの商品を仕入れ、販売する店舗のことを指します。以前は主に海外製品を扱うインポートショップが一般的でしたが、現在では国内外の様々なブランドの商品を取り扱うようになっています。

● 仕事内容
セレクトショップでの主な業務には以下のようなものがあります。

・バイイング
ブランドから商品の買い付けを行い、自社のコンセプトに合った商品を選定します。トレンド予測や顧客のニーズを考慮し、シーズンの約半年前から準備が始まります。

・マーチャンダイジング
マーケット分析、商品の企画・開発、予算計画、販促を行う業務です。全体の責任を持ち、売上向上に寄与します。

・販売
店頭での接客・販売、在庫管理、売り場作りを担当します。幅広い商品知識が求められます。
・商品広報・宣伝
雑誌やSNSを通じて商品のPRを行い、商品サンプルの管理や事務作業も行います。

・営業
販売先との取引や新規開拓を行い、顧客満足度を高めるための活動をします。
・生産管理
商品化計画に基づき、生産に関する予測・計画・統制を担当します。

・店舗設計・VMD
店舗の内装やディスプレイの管理を行い、視覚的なアプローチで売上に貢献します。

・EC運営
ECサイトの運営、商品管理、顧客対応を担当します。

・商品企画・デザイン・製造
オリジナルブランドのデザインやテキスタイルの開発を行います。

● やりがい
セレクトショップで働くことには下記のような3つのやりがいがあります。

➀ お客様の反応
接客を通じてお客様に喜んでもらえる瞬間がやりがいにつながります。
② 売上達成
数値で結果が表れることで、モチベーションが向上します。
➂ 個性を活かせる
多様な商品を扱うため、自分自身のスタイルを表現しやすくなります。

● 必要なスキル・素質
・センスと知識
ファッションに対する深い理解とトレンドに敏感であることが求められます。
・コミュニケーション能力
他の部署や取引先とのやり取りが多く、円滑なコミュニケーションが重要です。
・PCスキル
特にマーチャンダイザーやプレスでは、エクセル等の基本的なPCスキルが必要です。
・英語スキル
海外とのやり取りがある場合、英語のスキルが役立ちます。
・アパレル店員の経験
店舗での実務経験が、他の職種へのステップアップに役立ちます。

● 有利な資格
・パーソナルカラーリスト検定
色に関する専門的な知識を得ることができます。
・色彩検定
配色技法を学び、アパレルに活かせるスキルを習得できます。
・ビジネス実務マナー検定
ビジネスシーンで必要な常識やマナーを学びます。

セレクトショップでの経験やスキルを活かして、魅力的な提案を行い、顧客に喜んでもらえる仕事を目指しましょう。

【古着・リセール・2次流通】
古着・リセール・2次流通業界は、扱う商品や企業規模によって仕事内容が大きく異なります。ここでは、業務内容ややりがいについて詳しく紹介します。

● 仕事内容

・買い付け・バイイング
国内外から中古のファッション・アパレル商品を買い付ける業務です。バイヤーは戦略や予算をもとに商品を選び、トレンドを意識しながら必要な商品を仕入れます。取引先との商談や交渉も重要な要素です。

・買い取り
消費者から持ち込まれた商品を査定し、買取価格を設定します。商品の状態やブランド、市場価値を考慮し、適正な価格を提案することが求められます。

・値付け
買い付けた商品の値段を設定します。市場の動向や商品の状態をリサーチし、最適な価格を決定します。

・商品のクリーニング・管理
商品を販売可能な状態に整え、検品やクリーニングを行います。商品の清潔感を保つことが大切です。

・店舗管理
店舗の雰囲気や商品ディスプレイを考え、来店したお客様が商品を手に取りやすい環境を整えます。

・接客
お客様とのコミュニケーションを通じて、商品の販売やコーディネート提案を行います。商品知識が求められます。

・EC運営・SNS発信
自社のECサイトを運営し、商品の撮影や原稿作成を行います。また、SNSを活用したマーケティングも重要です。

● やりがい
古着・リセール・2次流通のやりがいは主に2つあります。
➀ 自由な働き方
一般的なファッションブランドとは異なり、服装や髪型の規定が緩やかなため、個性を生かしながら働けます。
② 幅広い知識の習得
様々なブランドや年代のファッションを扱うことで、豊富な知識を身に付けることができます。

● 求められるスキル・素質
・ファッション・アパレル全般の知識
幅広い知識を持ち、常に学び続ける姿勢が重要です。
・コミュニケーション能力
お客様に合わせた接客や、販売員同士の連携が求められます。

● 必要な資格
・古物商許可
古着を扱うために必要な資格で、事業の責任者が取得している必要があります。独立を考えている場合は取得をおすすめします。

アパレルの職業|川中編

アパレル業界では、生産・流通を担う業種を「川中」と呼び、主に以下のように分類されます。

【繊維商社(アパレル商社)】
繊維商社は、アパレルサプライチェーンの各段階で売り手と買い手の仲介を行う流通業です。国内外から衣料品の原材料や商品を仕入れ、販売します。また、ライセンスビジネスなども展開し、幅広い事業を手掛けています。商社は大型卸売業として、繊維メーカーからアパレル小売まで関与します。代表的な企業にはスミザックや伊藤忠商事があります。

【アパレルメーカー】
アパレルメーカーとは、ファッション商品を企画・製造し、それを小売業者に卸す企業を指します。もともと「メーカー」という言葉は、自社で製品を生産する製造業を意味していましたが、日本では卸売も手がける「製造卸売業」を含めてアパレルメーカーと呼ぶことが多いです。一部では「アパレル企業」とも呼ばれることがありますが、明確な定義は存在しません。

日本国内のアパレルメーカーは、ほとんどが自社工場を持たず、外部の業者に生産を委託しています。たとえば、縫製を専門に行う企業は「縫製業」や「縫製メーカー」と呼ばれ、アパレルメーカーとは区別されることがあります。また、婦人服や子供服といった特定のジャンルに特化した企業は「専業アパレルメーカー」、複数のカテゴリーを扱う企業は「総合アパレルメーカー」と分類されることがあります。さらに、商品を流通させるルートによって「百貨店メーカー」や「専門店メーカー」といった呼び方も使われます。

近年では、企画・製造に加え、小売も自社で行う「SPA(製造小売業)」が登場し、多くの大手アパレルメーカーもSPA部門を設けています。これは、消費者の声を直接反映し、より魅力的な商品を企画するためであり、自社ブランドの直営店を持つことで企業の成長につながっています。ただし、SPA企業は基本的に卸売業を行わないため、その点でアパレルメーカーとは異なるビジネスモデルとなります。

また、最近では百貨店をメインに展開する「百貨店メーカー」の売上や利益が減少しています。特に2020年5月には、長い歴史を持つアパレルメーカー「レナウン」が経営破綻したことが話題となりました。アパレル業界は市場の変化に敏感であり、企業はSPA事業に進出するなどして、常に新しい挑戦をしています。変化の激しい業界であるため、多くの企業がチャレンジ精神を持って新しい取り組みを進めており、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

アパレルメーカーの仕事は職種ごとに細かく分かれており、すべての従業員が商品作りに直接関わるわけではありませんが、店舗で自分が携わった商品が売られているのを見ることや、雑誌やテレビで紹介されているのを見かけることができます。特に自社販売を行っているアパレルメーカーでは、現場で商品が消費者にどのように受け入れられているかを直接感じることができるため、仕事の達成感を得る場面が多いです。

さらに、服作りに興味がある人や、好きなブランドに関わりたいと願っている人にとっては、アパレルメーカーは理想的な職場です。同じようにファッションに情熱を持っている同僚と一緒に仕事ができるため、ファッションが好きな人には非常に楽しめる環境でしょう。

【OEM(Original Equipment Manufacturing)】
OEMは、自社ブランド製品の製造を他社に委託する業種です。自社工場を持たないブランドが商品企画を行い、OEM企業が指定された素材やデザインで商品を生産します。OEMはファッション業界だけでなく、自動車や家電など多様な分野で利用されています。代表的なOEM企業には華和紡商事やサンローレルがあります。

【ODM(Original Design Manufacturing)】
ODMは、商品のデザインから製造までを代行する業種です。ODM企業は委託を受け、デザイン・設計を行い、その後製造を行います。ODMとOEMの違いは、デザイン・設計の有無です。ODM企業の例としてルックモードやMYKがあります。

【SPA(Specialty Store Retailer of Private Label Apparel)】
SPAは、製造から販売までを一貫して行う業種です。消費者のニーズに迅速に対応し、効率的な販売が特徴です。代表的なSPA企業にはZARA、H&M、UNIQLOがあります。SPAは流通の中間マージンを省くことでコストを削減し、競争力のある価格で商品を提供します。

このように、アパレル業界は多様な業種で構成されており、それぞれが異なる役割を果たしています。

アパレルの職業|川上編

繊維業界における「川上」とは、素材作りの最初の段階を指します。ここでは、原料を調達し、繊維や糸といった素材を製造し、それを「川中」にあたるメーカーへと販売する役割を担います。以下に、代表的な業種とその役割を紹介します。

【繊維メーカー】
繊維メーカーとは、多種多様な製品に使用される繊維を製造する企業を指します。天然繊維には木綿や絹があり、化学繊維にはナイロンやアクリルが含まれます。これらの繊維を生産することで、様々な製品の製造に貢献しています。

最近では、技術の進展により、繊維は衣料品にとどまらず、住宅の断熱材や樹脂・フィルムなど、広範囲にわたる用途で利用されています。化学メーカーとしての特性を持つため、繊維だけでなく他の分野の製品も扱っていることが多いです。

● 繊維メーカーとアパレルメーカーの違い
繊維メーカーとアパレルメーカーの違いは以下のようになります。
取り扱う製品▶業務の領域
繊維メーカー▶衣料品や産業資材に使われる繊維
アパレルメーカー▶衣料品

繊維メーカーは衣料品に使用される繊維だけでなく、産業資材に使われる炭素繊維などの化学繊維も取り扱っています。製造だけでなく、研究や開発にも力を入れ、新たな技術や素材の発見を目指しています。
一方、アパレルメーカーは衣料品に特化しており、製造や販売、プロモーションを行い、消費者にファッションアイテムを提供しています。
繊維メーカーとアパレルメーカーは両方とも衣料品に関連する業界であるため混同されがちですが、実際には業務内容が異なるため、それぞれの違いを理解することが重要です。

● 主な職種と仕事内容
繊維メーカー業界にはさまざまな職種が存在し、それぞれが連携しながら製品を生産しています。主な職種は以下の3つです。

➀ 研究開発職
研究開発職は、繊維の研究と新商品の開発を担当します。新素材や技術を探索し、実用化に向けた検証を行い、製品製造の基盤を築く役割を担っています。日本の繊維メーカーは世界的に高い技術力が評価されており、研究開発は特に重要な職種です。

② 生産管理職
生産管理職は、製品の製造全般を管理する役割を果たします。製造工程や業務の監視を行い、品質の高い繊維製品を生み出すために、トラブルシューティングや生産数・納期の管理を行います。生産管理は計画通りに質の高い製品を作るために欠かせない職種です。

➂ 営業職
営業職は、自社の繊維製品を顧客に提案する役割を果たします。商品の特徴を伝えるだけでなく、顧客に対するメリットを明確にし、高品質な提案を通じて売上を確保します。新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客との関係維持も重要で、定期的なフォローや提案により継続的な取引を促進します。

【テキスタイルメーカー】
テキスタイルメーカー(繊維メーカー、生地メーカー)は、私たちが使う洋服や日用品、自動車のシートや医療用の素材まで、さまざまな分野で使われる布や糸を作る企業です。天然の繊維や、ポリエステルなどの合成繊維を使って、時代のニーズに合わせた多様な生地を作り続けています。古くからある産業ですが、今でも新しい技術を取り入れて進化しています。

特にファッションやアパレル業界では、織物やニットなどの生地をデザインし、アパレルメーカーや商社からの依頼を受けて生地を製造します。「この生地を使ってみたい!」と思ってもらえるような、おしゃれで機能的な生地を作るのが大切な役割です。

ちなみに、織物を作る企業は「機屋(はたや)」、ニット生地を作る企業は「ニッター」と呼ばれますが、ここではそれらを含めて「テキスタイルメーカー」としています。

● 仕事内容
テキスタイルメーカーの仕事は、次のようなものがあります。

・企画
どんな素材や織り方で生地を作るかを決める段階です。市場のトレンドやターゲットを調査して、生地の方向性を決めます。

・研究
素材の特性を研究し、性能や安全性の評価をしながら、生産技術を開発します。お客さんが求める品質を達成するため、日々改善を重ねています。

・生地の製造
テキスタイルメーカーにとって一番大事な業務です。企画された生地をサンプルとして作り、理想の生地に仕上がるまで修正を加えながら製造します。場合によっては、海外の技術を取り入れることもあります。

・営業
完成した生地を、アパレルメーカーや繊維商社、テキスタイルコンバーターに販売します。展示会を開いて直接商品を紹介することもあり、お客さんの声を聞きながら、次の製品開発に活かすことも重要です。

【テキスタイルコンバーター】
テキスタイルコンバーターは、生地の製造卸業を専門とする業種で、工場とアパレルメーカーの間をつなぐ生地問屋の役割を果たします。発注元が求めるテキスタイルに適した糸や織り方、染め方、加工方法などを考慮し、最適な生産環境を組み立てるのが主な仕事です。

コンバーターは、自ら企画と生産のリスクを負いながら、紡績や織物、染色加工を手掛ける工場と連携し、原材料の仕入れから生産依頼、アパレルメーカーへの卸売までを行います。アメリカでは、「コンバーター」は生地の企画から製造・加工までを自ら行う業者を指しますが、日本では、テキスタイルメーカーとアパレルメーカーの間に入る生地卸業者のことを指します。コンバーターは各産地の特徴を熟知しており、発注元が求める生地に適した生産環境を整えることで、より良い製品を生み出す役割を担っています。

コンバーターの仕事は生産工場との密なやり取りを通して、アパレルメーカーの要望を形にしていくものです。発注依頼を受けるだけでなく、自らテキスタイルを企画し、リスクを負って生産・加工を依頼し、最終的にアパレルメーカーに卸すこともあります。

最近では、アパレルメーカーやブランドが直接テキスタイルメーカーと取引するケースも増えていますが、テキスタイルには色や風合いといった独特の付加価値があり、これを生み出すのがテキスタイルコンバーターの重要な役割です。テキスタイルメーカーと異なり、コンバーター自身は生地の生産機能を持たないというのが大きな違いです。企画や開発を担当しますが、実際の生産は工場やテキスタイルメーカーに依頼します。

● 仕事内容

・企画
商品の発売よりも1年以上前から企画がスタートします。市場調査やトレンド分析を行い、発注元の要望に応じたテキスタイルの素材や織り方、染め方、加工を考えます。

・発注
企画が決まったら、それに基づいてテキスタイルメーカーや工場に発注を行います。最適な生産工場を選び、イメージ通りの生地が出来上がるまで、何度もやり取りを重ねて開発を進めます。

・提案・営業
完成した生地を発注元に提案し、仕上がりの確認を行います。また、コンバーターが独自に企画した生地をアパレルメーカーに販売するために営業活動を行うこともあります。場合によっては、新規の取引先を開拓することもあります。

・納入
完成した生地をテキスタイルメーカーや工場から受け取り、発注元に納品します。梱包や配送手続きを適切に行うことが、信頼関係を築くために非常に重要です。


このように、アパレル素材産業は多くの専門的な業種から構成されており、それぞれが異なる役割を果たしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ファッションとアパレルには大きな違いがありましたね。
私たち消費者に洋服が届くまでには多くの人が携わり、それぞれに役割があります。一概にアパレルで働きたいと言っても「川上」で素材や原料を作られ、それを使用して服を作る「川中」の企業があり、出来上がった服を市場で販売する「川下」の店舗があります。あなたはどの職種に魅力を感じましたか?まずは身近なアパレルショップ店員のアルバイト・派遣から初めて、本社で正社員を目指し、洋服のできるまでを詳しく体験するなんてライフプランも良いかもしれません。たくさんのやりがいを感じ続けることのできるアパレル産業で是非、あなたに合った仕事を見つけてください!

下記記事にもファッション業界の面接で役立つ内容をわかりやすくまとめておりますので、是非ご一緒に読んでみてください!

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