── 一般事務
アパレル業界の一般事務も基本的には、一般企業とはお仕事内容に変わりはありません。勤務時間は会社によって異なる場合がありますが、基本は内勤でパソコンを使用したデータ入力、社内外で必要な書類の作成・処理・整理、郵便物の仕分け・発送や電話対応・来客対応をしたりと、幅広い業務をおこなうポジションです。（OA事務ともいう）

しかし一般事務と一口に言っても、その業務内容の範囲は広く、働く会社の規模や部署によって仕事内容が異なる場合があるので注意が必要です。アパレル業界は中小規模の社も多いので、営業・人事・労務や経理、総務などのやや専門性の高い事務作業を兼任するケースもあります。さらに、福利厚生や社会保険の手続きサポート、有給休暇の取得管理なども行うこともあり、社員が安心して働ける環境づくりにも関わります。実績に応じて賞与や昇給制度がある会社もあり、キャリアアップを目指せる点も魅力です。

── 営業事務
会社の商品を扱う営業部のアシスタントというポジションであることが多く、商品の受発注や見積書・請求書の作成などが主な仕事内容となります。また、アパレル業界での営業事務には「店舗運営のサポート」も大切な業務のひとつです。店舗にある商品の在庫管理、備品の管理・発注や店頭に提示するポスターやPOPなど販促物の手配などです。通販サイトの運営をサポートする場合もあり、新規商品情報の登録やデータの入力、価格変更の対応なども任されることがあります。

さらにプライベートとの両立がしやすい職場も多く、シフト制や残業なしの求人も見られるのが特徴。店舗の店長やスタッフはもちろん、得意先の方や物流部門とやりとりする機会も多く、チームで協力しながら仕事を進める力も求められます。

── 人事事務
採用・労務管理・給与支払いなど人事部が担当する仕事を一覧管理のシステムを使って書類作成や手続き業務などを通してサポートするお仕事です。アパレル業界ではリアル店舗が非常に多く、人の入れ替わりも激しいので、店舗の販売スタッフの採用・労務管理などは非常に重要です。また、「働き方改革」「HRテック」といったキーワードが昨今流行し、人事事務・人事アシスタント・労務事務といった人事専門の事務職も非常にやりがいのある仕事として注目されています。

特に新卒採用や第二新卒採用の動きも活発で、求人票作成、面接設定、内定者フォローなど、幅広い場面で活躍できます。福利厚生の中には、交通費の支給や髪型・ネイル自由といった制度も整っており、アパレルらしい自由な社風の職場も多いです。

── 貿易事務
貿易事務は、商品や原材料の輸出・輸入に関して必要な手続きや書類作成を行います。通関手続きなどもありますので、専門的な知識が求められる場合が多いですが、海外の企業との取引を行うので英語をはじめとする語学力を活かせる職種でもあります。また、アパレルでは小物やアクセサリー、洋服などの取引も多く、海外とのやり取りも日常的。正社員としての募集もあれば、業務委託や在宅で対応する求人もあり、働き方の選択肢が豊富なのも特徴です。webでの会員登録をして最新の求人をチェックすることのできるサイトもあります。

【一般的な事務職のイメージと現実の変化】
一般的な事務職というと、「高度なスキルは必要なさそう」「未経験でもPCスキルがあればなんとかなりそう」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、現在はその考え方が通用しにくくなっています。今後は、専門的なスキルを持たない事務職の活躍の場は徐々に減っていくと考えられています。

その背景には、AI（人工知能）やクラウドサービスといった最先端のテクノロジーが急速に普及し、事務作業の効率化・自動化が進んでいる点が挙げられます。特にアパレル業界も例外ではなく、ECサイトの運営や通販事業を展開する企業では、新しいシステムやツールを積極的に導入し、データ活用や情報管理を行う環境が整いつつあります。また、最近では求人サイトでもこうしたシステム関連のスキルを求める事務職求人が増えているのも特徴です。

【変革期に求められるスキルとは】
いま、まさに第４次産業革命といわれる変革の時代において、バックオフィス職として働くには、これまでのような受動的な姿勢ではなく、自ら学び、能動的にスキルを身につけていく姿勢が求められるようになってきました。

中でも重要とされているのがITスキルです。企業ごとに導入するシステムやツールは異なるものの、AIを活用した業務ツールや、クラウド型の業務システムがどんどん増えており、その操作や活用ができることが必須になりつつあります。特に東京都・大阪府・神奈川県といった都市部のアパレル企業では、すでにAIツールの導入も進んでおり、バックオフィス職にもツールの操作を求められる場面が増えています。

【ITスキルを活かした能動的な働き方】
システムの目的や仕様を理解し、操作しながら業務を進められるかどうかは、バックオフィスで活躍するための大きなポイントとなります。さらにその基礎の上で、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用した資料作成、データ入力、データ分析などができると、より能動的で幅広い仕事を任されるようになるでしょう。

また、近年はSNSマーケティングなども社内で兼任するケースがあり、データの集計や売上レポート作成を担当する機会も増えています。こうしたスキルを身につけておくと、AIやデジタルツールの普及がさらに進んだときにも大きな武器となり、自分の市場価値を高めることができます。

【アパレル販売経験も大きな強み】
また、アパレル販売の経験がある方は、それも大きな強みになります。セールや繁忙期などの際には、バックオフィス職であっても、臨時で店舗のサポートに入ることが求められるケースもあり、その際に販売経験がある方は非常に重宝されます。

特に週休2日制で働きながら、販売サポートもできるスタッフは社内でも貴重な存在です。アパレル業界ならではの職場環境といえます。さらに、制服貸与などの福利厚生も整っている企業もあり、働きやすい職場環境を選ぶことも大切です。

【接客経験から得たスキルも活かせる】
さらに、販売員として多くのお客様と接してきた経験によって、コミュニケーション能力や細やかな気遣いを身につけている方は多いでしょう。

バックオフィスの仕事も、社内外の関係者と連携を取りながら進めることが多く、これらのスキルは大いに役立ちます。最近では、福利厚生や産休・育休の制度も整いつつあり、長く働きやすい環境が整えられてきている点も、事務職としての魅力のひとつになっています。

● ファッション業界の内側に関われる
アパレル業界のバックオフィス業務は、普段はお客様の目に触れることはありませんが、ブランドやショップの運営を支える大切なポジション。デザイナーが生み出した洋服やアクセサリーがスムーズに店頭や通販サイトに並び、販売スタッフが安心して接客できるのも、バックオフィスのサポートがあってこそです。

特に商品の発注管理や販促物の手配、スタッフの労務管理などは、直接ブランド運営の根幹を支える仕事。例えば「この人気商品の再発注をスピーディに対応できたおかげで売り逃しを防げた」「新店舗の立ち上げ準備を無事完了させた」といった場面では、大きな達成感も味わえます。

また、自分の好きなブランドや憧れのアパレル企業で働けるチャンスもあり、ブランドの成長を内側から支えながらファッション業界のリアルに触れられるのは、アパレルのバックオフィスならではの魅力です。

● 働き方の選択肢が豊富
アパレル業界のバックオフィス職は、正社員はもちろん、パート、アルバイト、業務委託、在宅勤務など、幅広い雇用形態があります。ライフスタイルに合わせて働き方を選べるのも魅力のひとつです。

例えば、子育て中の方なら時短勤務や在宅ワークで、データ入力やECサイト運営サポートを担当するケースも。また、副業OKの求人もあり、他の仕事と掛け持ちしたい方にも柔軟な働き方が可能です。

さらに、福利厚生の充実した企業も多く、社会保険完備、産休・育休制度、社員割引制度など、アパレル好きにはうれしい待遇も魅力。ファッション業界というと不規則なイメージを持つ方もいますが、バックオフィスは土日祝休みや週休2日制を採用する会社も多く、働きやすい環境が整っています。

● キャリアアップのチャンスも
アパレル業界のバックオフィス職は、経験を積むことでさまざまなキャリアアップの道が広がります。例えば、新ブランドの立ち上げ時のバックオフィス責任者や、通販サイトの運営責任者など、ブランド運営の中心メンバーとして活躍することも可能。

また、海外取引を担当する貿易事務や、生産管理、マーケティング部門など、職種の枠を越えて新しいフィールドに挑戦する人も多いです。さらに、経験を積めばチームリーダーやマネジメント職としてスタッフの育成・管理も任されるようになり、組織運営に関わるポジションへのキャリアアップも実現できます。

最近は働き方改革が進んでおり、社内の制度や環境改善のプロジェクトメンバーとして活躍する事例も。社内の雰囲気や文化を自分の手で良くしていけるのも、やりがいのひとつです。

・ケース①：データ入力スタッフから事務職のリーダーへ
Aさん（28歳・女性）
大学卒業後、未経験でアパレルブランドのデータ入力スタッフ（契約社員）として入社。主に通販サイトの商品データ入力や、在庫データの確認・修正、店舗ごとの発注状況の一覧管理などを担当。仕事をしながらOAスキルや事務処理の基本を身につけ、入社3年目で【一般事務職（正社員）】へ昇格。

現在は一般事務・営業事務の業務を兼任し、後輩スタッフの教育や業務改善の提案も行う事務リーダーに。スタッフの勤務時間調整や、有給休暇の取得管理も任され、社内コミュニケーションを円滑にする調整役としても活躍中。

また、プライベートと仕事の両立を重視する職場環境づくりにも関わり、交通費支給や髪型自由などの福利厚生制度の提案も行っているとのこと。今後は、新卒採用の企画や、人事総務の業務にもチャレンジしたいと考えています。

・ケース②：販売スタッフからバックオフィスへ転職
Bさん（32歳・男性）
アパレルショップの販売スタッフとして5年間勤務。ブランドの世界観を伝えることに魅力を感じつつ、より運営側の仕事に関心が強まり、「もっとブランドの運営にも関わりたい」と思い、社内公募制度を活用し営業事務にキャリアチェンジ。

現在は、各店舗の商品発注・販促物手配、ECサイトの運営補助、在庫確認などを担当し、店舗と本部のパイプ役として活躍中。シフト管理や社内メールのやり取りも多く、スタッフ間の調整役として重宝されています。

最近では、イベント運営の企画サポートや、会員登録キャンペーンのデータ入力業務も担当し、営業事務の枠を超えた活躍の場を広げています。今後は賞与や昇給などの給与体系の改善提案にも携わりたいと考え、バックオフィスチームのマネージャー候補として、さらなるキャリアアップを目指しているそうです。

バックオフィスの仕事につくには

アパレル業界のバックオフィス（事務職）は内勤ということもあり、人気のある職種の一つです。また、アパレルブランドの事務職は求人情報の件数自体があまり多くないので、求人サイトでこまめに新着や急募の情報をチェックし、気になる求人を見つけたらすぐに応募することをおすすめします。最近では副業や在宅勤務OKの求人も増えており、働き方の幅も広がっています。

すでに販売員としてお仕事をされている方は、自社内で登用制度がないかを確認し、キャリアチェンジができないか相談してみるのも一つの方法です。販売員の接客力に加えて、一般的なパソコンスキルを習得すれば、バックオフィス職へのキャリアチェンジの可能性も高まります。

「立ち仕事は体力的に厳しくなってきたけれど、アパレル業界で働き続けたい…」という方には事務職は非常に魅力的な選択肢。同じオフィスワークという点では、通販サイトの運営やECサイトの運営事務を選ぶのもおすすめです。アパレル業界でもECサイトの売上は年々増加傾向にあり、リモートや時短勤務が可能な求人も見られるようになりました。採用ニーズも確実に高まってきており、これからさらに注目の職種といえそうです。

ぜひチャレンジしてみて下さい！