派遣の契約とは?契約締結のルールや気をつけるべきポイント

スキルアップ
2020.12.24
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実際に派遣スタッフを受け入れるためには様々なルールがあることは『人材派遣ってどういう仕組み?企業にとっての利用メリットや活用方法を徹底解説!』や『派遣の抵触日とは?気をつけることは?ルールを徹底解説!』でご紹介をしました。

それでは実際に派遣スタッフを受け入れるにあたって、どのような契約を締結する必要があるのでしょうか?今回は人材派遣を利用する企業が抑えておきたい、契約締結のルールや気をつけるべきポイントをお伝えします。

人材派遣を利用する際に必要な契約は?

人材派遣ってどういう仕組み?企業にとっての利用メリットや活用方法を徹底解説!
https://www.staff-b.com/topics/detail/555/

でもお伝えしたように、人材派遣とは派遣会社が雇用している労働者を使用できる仕組みですので、派遣先企業と派遣スタッフの間には雇用関係がありません。

雇用契約の締結に関しては、派遣元と派遣スタッフに委ねることになり、派遣先と派遣スタッフの間にはいかなる契約も存在しないことになります。その代わり、労働者派遣法によって派遣先企業と派遣会社との間で労働者派遣契約を締結することが法律で義務付けられています。

『労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し法第二十六条第一項の規定により定めた事項を、書面に記載しておかなければならない。』(労働者派遣法第26条則第21条第3項)

ここでいう、労働者派遣契約の当事者とは派遣先企業と派遣会社のことで、両者は就業条件をふくめた人材派遣を受け入れるにあたっての条件などについて予め契約を締結する必要があるのです。

一般的に、派遣先企業と派遣会社の間でまず『基本契約』というベースとなる契約を締結し、就業先部署や派遣スタッフごとに個別で条件を定めなければいけないものは『個別契約』を締結するケースがほとんどになります。

従って、派遣契約には『基本契約』と『個別契約』の2種類が存在します。なお、先述の派遣法に定められている労働者派遣契約とは『個別契約』のことをさします。

基本契約とは?

それではまず、基本契約についてみていきましょう。

基本契約は労働者派遣の全般に関係する継続的な取引の基本的事項の取り決めをする契約で、人材派遣に関する定めだけではなく、企業間の商取引の条件に関しても盛り込まれることが通例です。この基本契約書の内容は、派遣スタッフや派遣先部署が変わったとしても変更されることはありません。

なお、派遣法では基本契約で記載すべき事項については明確な規定はありません。なぜならば、個別契約に記載があれば問題がないという解釈だからです。とはいっても、個別契約で全ての記載事項を網羅しようと思うと契約内容が膨大なものになってしまいます。

そこで、下記のような普遍的な内容を基本契約に記載しておき、どうしても派遣スタッフや就業先によって内容が変わってしまうものを個別契約に記載をすることが一般的となっています。

── 受け入れ期間の制限や抵触日の通知
こちらは派遣の抵触日とは?気をつけることは?ルールを徹底解説!
https://www.staff-b.com/topics/detail/558/

でご紹介をした抵触日を遵守することを記載します。

── 適正な就業や安全の確保
労働者派遣法第40条で『派遣先企業は派遣社員の適切な就業環境の維持等に努める義務』が定められており、そちらの遵守を記載します。具体的にはセクシャルハラスメントの防止や派遣社員の教育訓練や福利厚生面を派遣先企業の社員と同等とする配慮などが該当します。

── 損害賠償や契約解除
派遣スタッフの故意または過失により、派遣先企業に損害を与えた場合の規定(過失割合や賠償額の上限など)を記載します。

その他、下記も基本契約書に記載されることが多い項目になります。

・個別契約と基本契約の関係性
・派遣元責任者、派遣先責任者、指揮命令者の選任
・労働者の交替
・守秘義務
・契約の中途解除や期間短縮の特例
・契約の有効期間

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個別契約とは?

先述の通り、基本契約書では定め切れない法定記載事項を中心に業務内容や契約期間の取り決めをする契約です。派遣スタッフや派遣先部署が変わるごとに個別に定め、これにより派遣スタッフの就業条件も定められることになります。

特に以下の事項は法定記載事項ですので、必ず個別契約書上に記載する義務があります。

── 業務内容
派遣スタッフが従事する具体的な業務内容を記載。

── 責任の範囲
派遣スタッフが従事する業務に伴う責任の程度を記載。

── 就業場所
派遣スタッフが働く支店名や部署名、電話番号を記載。

── 組織単位
個人単位の抵触日の組織単位(店舗、部署、グループなど)を記載。

── 派遣期間
派遣スタッフの就業期間を記載。

── 就業日、就業時間、休憩時間
派遣スタッフの基本となる就業曜日、就業時間、休憩時間を記載。

── 就業日外や時間外労働の取り決め
※⑥に記載する以外の日や時間以外に就業させる場合に、就業をさせることができる日数と時間数を記載。

── 指揮命令者、派遣元責任者、派遣先責任者
選任者の氏名、所属部署、役職名、電話番号などを記載。

── 便宜供与
派遣先企業が派遣スタッフに対し、派遣先の直接雇用者が利用する設備を同様に利用が出来るように便宜を図る旨を記載。

── 雇用安定措置
契約解除の事前の申し入れ、就業機会の確保、損害賠償等に係る適切な処置、契約解除の理由明示について記載。

人材派遣の契約の注意点

労働者派遣法ではいくつかの禁止事項を設けています。基本契約も個別契約も労働者派遣法の範囲内で締結すべきものですので禁止事項に抵触しないように注意をする必要があります。

── 派遣禁止業務
以前、人材派遣ってどういう仕組み?企業にとっての利用メリットや活用方法を徹底解説!
https://www.staff-b.com/topics/detail/555/

でも解説しましたが、そもそも人材派遣を利用できない業種があります。これらの業種での派遣契約は即、違法となります。

── 無許可事業からの派遣受け入れ
派遣会社は許認可制ですので、無許可の派遣会社からの派遣スタッフの受け入れは違法で、派遣先企業にも罰則が適用されます。派遣会社ごとに許認可番号をもっていますので、必ずその許認可番号を個別契約に記載してもらいましょう。

── 派遣期間の制限を超えた派遣受け入れ
派遣の抵触日とは?気をつけることは?ルールを徹底解説!
https://www.staff-b.com/topics/detail/558/

でも解説したように、すべての業務において派遣スタッフの利用は『最長3年間』という派遣期間の制限が設けられています。このルールを守ることはもちろんのこと、この制限をしっかりと管理するために個別契約に必要な情報を記載することが必須となります。

── 派遣契約の中途解除
派遣先企業が以下の事由をもって派遣契約を解除することは不当な差別として禁止されているため、その旨を派遣契約にも明示するようにしましょう。一般的には基本契約書に盛り込むことが多いです。

・国籍、信条、性別、社会的身分
・結婚、妊娠、出産
・育児休業、介護休業の請求
・会社の法違反を行政機関に通報した
・労働組合に加入したこと、正当な組合活動をしたこと

また、上記理由以外で別に派遣先企業の都合で労働者派遣契約の中途解除をしようとする場合、派遣先企業は以下の措置を行うべきと規定されています。この点も派遣契約(一般的には基本契約書)に規定しておきましょう。

・派遣会社の合意を得るとともに、あらかじめ相当の猶予をもって申し入れること。
・遅くとも30日前に予告し、予告しない場合は派遣会社に派遣スタッフの賃金相当分の損害賠償を行うこと。

── 離職後1年以内の元従業員の派遣受け入れ
派遣法では離職後1年を経過していない労働者を元の職場で派遣スタッフとして受け入れることを禁止しています。したがって派遣先企業は、受け入れ予定の派遣スタッフが上記に該当すると判明した場合には、すみやかに派遣会社に通知する必要があります。
(60歳以上の定年退職後の労働者には適用が除外されているため、派遣スタッフとして受け入れが可能です。)

この点もしっかりと派遣契約書に記載をしておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は派遣の契約のルールや注意点をお伝えしました。チェックポイントをしっかりと抑えて、ぜひ今後の派遣サービス利用にお役立てください。

弊社スタッフブリッジでは、アパレル業界の派遣のプロが企業様を徹底フォローさせていただきます。少しでも興味を持たれたら、是非スタッフブリッジへご相談ください。